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2016年2月11日 「お坊さん便」に思う仏教・仏事のありかたって何だろう?


皆さん、こんにちは。
ブログ担当の柴です。

先日のブログでもお伝えしたように、通販のamazonではインターネットでお坊さんの手配や戒名まで頂けるサービスの取扱いが始まりました。

もちろん賛否両論があるようです。

このような風潮、皆さんはどうお考えになりますか?
 

仏教のサービス化

「お坊さん便」はインターネットでお坊さんを注文できるサービスです。

そのサービスの中には「戒名・法名」を頂けたり、お墓まで来てお経を読んでくれたり。

葬儀の時でも利用できるので、お寺との付き合いがない人には有り難いサービスです。

しかし、このような仏教のサービス化、商売化について嫌悪感を持つ人がいるのも事実。

はたして、正解はあるのでしょうか?


私は以前のブログに書いたように「お坊さん便」には賛成です。

大切な人が亡くなったとき、遺族はどうしたらよいのか分かりません。

しかし、それを支えてくれるのが、お寺であり住職だったんですね、昔は。

皆さん、一度は菩提寺・檀家という言葉を聞いた事があると思います。

これはお寺を中心にしたコミュニティで、檀家がお布施・寄付などで菩提寺を支え、代わりに菩提寺が檀家の葬儀や法事などを行うのです。

このコミュニティが機能していた時代は良かったのですが、核家族化や人口の都市集中など、人々の生活様式が変化することでその機能が果たせなくなってきました。

結果として、仏教、すなわちお寺との繋がりがなくなっていきました。

では、お寺との繋がりがない人、または仏教徒ではない人はどうすればよいのでしょう?
 

本来の葬儀と戒名

没後作僧(もつごさそう)という言葉を聞いたことがありますか?

昔、僧侶は同じ僧侶が亡くなった場合に葬儀を行うことがあっても、一般庶民の葬儀を行うことはありませんでした。

というより昔の僧侶は超エリートで、一般庶民と接する機会がほとんどありませんでした。

ですから、葬儀を行うとすれば修行中の僧侶同士ということになります。

もちろん仏門に入っているので、名前は戒名になっています。

戒名とは仏門に入り、戒律を守って修行する事を意味するもので、亡くなってから授かるものではありません。

しかし、僧侶が一般庶民の葬儀を行うようになると、一つの問題が生じます。

僧侶は皆、仏門に入り戒名をすでに持ていますが、一般庶民は戒名を持っていないため、どうやって葬儀を行ってよいか分からないのです。

そこで「没後作僧」です。

亡くなった人を剃髪し、戒名を授けることで仏門に入れ僧侶にするのです。

そうすれば今まで通り、僧侶の葬儀と同じように執り行えるからですね。

こうやって仏教と庶民が葬儀において結びつき、今の葬儀の形になっていきました。
 

現代の葬儀

現在、人がお亡くなりになる場合、ほとんどが病院で看取られると思います。

そうすると病院から自宅までご遺体を運ばなければならないのですが、それを代行してくれるのが葬儀社です。

だいたいが病院からの紹介という形になり、葬儀社に言われるままに葬儀を依頼してしまいます。

すると実家が仏教であれば宗派に合わせた僧侶を紹介してくれますし、戒名だって頂けます。

いわゆる葬式仏教というものです。

仏教式の葬儀を行うということは、亡くなった人を僧侶として成仏してもらうことです。

そのためには僧侶である証の「戒名」が必要になり、僧侶から戒名代を支払って戒名を頂きます。

そうして僧侶になった後、葬儀が執り行われるのです。

でもこれって、すでにサービス業ですよね?

そう考えると仏教のサービス化についての是非は、特に問題にならないと言えます。

では、なぜ反対意見があるのでしょう。
 

サービス料の明確化

今回の「お坊さん便」ではサービスの内容・料金が明確に表示されています。

一般的には金額の表示はなく、「お気持ちで」ということになりますが、葬儀社を経由した場合にはそれなりの金額を請求されます。

その金額を決定する基準は全く分からず、金額が定まっているものかも分かりません。

例えば戒名で考えてみましょう。

本来であれば、檀家になり受戒することで頂くものです。

またお寺に貢献した度合いで戒名の位も変わってきます。

私の祖父母も、生前からお寺の行事のお手伝いから日々のお掃除などをお手伝いしていたため、戒名は生前に頂いておりました。

それも無料で。

これが菩提寺と檀家の関係と言えます。

ですから葬儀の時だけお経を読む僧侶に、なぜ高いお金を払って戒名を頂くのでしょう。

このような不明瞭なシステムであったからこそ、今のお寺離れ・葬儀離れに繋がったのではないでしょうか。

それに一石を投じたのが「お坊さん便」ということですね。
 

お坊さん便の今後

最近の風潮として、「業界」の垣根がなくなってきました。

どんな業界にも他業種からの新規参入が増えています。

仏教・葬儀の業界も同じです。

お客様の利便性・有益性を考えると、これからどんどん加速していくでしょう。

その一つが「お坊さん便」であるならば、今後益々需要は増えると思います。

お客様の立場で考えることが、一番大切なのですから。